手に取った新刊文庫本の裏を見たら、「潰瘍性大腸炎」の文字が目に飛び込んできた。夏樹静子さんの「心療内科を訪ねて−心が痛み、心が治す−」。ご自身も心身症を経験した夏樹さんが、様々な心身症の患者さんの話を聴き、まとめた本だった。常日頃、心と身体の密接な関係を実感しているので、迷わずそのままレジへ。
まだ全部読んでないので感想は後日書こうと思うが、この本は私にとって、自分自身の問題点と向き合わされる厳しい本だ。
先に読んでしまったあとがきで、夏樹さんが池見酉次郎教授の「続・心療内科」の文章を引用して、同感の意を表している。

心療内科に入院することによって、患者たちの多くは「病気には自分も責任がある、自分の行き方にも問題があるのだ」という自覚に達する。(中略)
だからこそ、私はかねてから「心療内科は終着駅(他で治らぬ患者が最後にたどりつくところ)ではなくて始発駅だ」といっている。「自分にも責任がある」という自覚に達してこそ、長きにわたる難病からの開放への道が開かれるのである。

これまでずっと、潰瘍性大腸炎は自分のせいでなったのではないと思うようにして、そのやりきれない気持ちを自分以外にぶつけてきた。でも、本当はどこかで原因が自分にもあることも感じていたと思う。この病気は原因不明だから一概には言えないだろうが、私のように心の状態で症状が悪化しがちなタイプの人は、自分の許容範囲の少ない心や偏った考え方のせいで自らを追い込み、身体が悲鳴をあげてしまうのかもしれないと。
この本はそれを真正面からぶつけてくる。

心療内科を訪ねて―心が痛み、心が治す (新潮文庫)

心療内科を訪ねて―心が痛み、心が治す (新潮文庫)