『潰瘍性大腸炎と上手に付き合う本』

潰瘍性大腸炎がらみで一番新しい本。著者の考えの違いもあるのでしょうが、昔と比べたら、言われていることがずいぶん変わってきていて、改めて驚きます。
注意しておきたい部分を箇条書きにまとめておきます。

  • 免疫調整剤のイムランを使用している方は、インフルエンザワクチンを打っても抗体ができにくいので、役に立ちません。
  • 潰瘍性大腸炎の患者は原因不明だが、神経痛・筋肉痛・関節痛・肩こりからの頭痛を起こすことが多い。
  • アザチオプリン(イムランなど)は内視鏡検査で緩解していることを確認しても、急いで中止すると再燃しやすいため、約3年以上は服用します。中止する場合は、ステロイドと異なり、徐々に減量の必要はありません。
  • 身体的ストレス(寝不足・過労)、精神的ストレス(不安・心配)は再燃の原因です。状態によっては、軽い睡眠剤や安定剤を処方してもらうのもよいでしょう。
  • 夏場の日焼けやお腹を強く締める服も身体的ストレスになります。
  • 英国191人の患者さんの追跡調査では、穀類や牛乳を多く摂取しても再燃する人はいませんでした。一方、豚肉・牛肉・サラミ・ソーセージなどの加工肉を食べる人は5.2倍、アルコールを多く飲む人は2.7倍、卵を多く食べる人は2.3倍再燃しやすいそうです。
  • 増粘多糖類のカラギナンは大きな分子量の物質ですが、分解されて分子量が小さくなると、炎症を引き起こすことが知られています(ウサギでの実験)。関係性はまだ不明ですが、カラギナンは避けた方がよいでしょう。
  • 食物繊維は粘膜の修復を行います。下痢状の便では、粘膜と便との間に粘液の層を作ることができず、粘膜に便が直接接触することにより、粘膜を傷害します。それを食物繊維は改善します。
  • 睡眠が7時間以上の患者さんは、7時間未満の人より悪化する確立が1/3でした。
  • ビフィズス菌発酵乳は科学的な研究方法である臨床試験により有効性が証明されました。おなかが張ってきたり、粘液が増えてきたりしたときに、1日に1、2本程度飲まれるのがよいようです。

潰瘍性大腸炎と上手に付き合う本

潰瘍性大腸炎と上手に付き合う本