フィクションです。

ここには何度か登場していますが、例のキザな上司が、最近私の服を褒めてきます。何の脈絡もなく突然、「そのシャツのレースはかわいいじゃないか」とか「そのピンクのセーターはかわいいじゃないか」と言い出すのです。人の服をよく見ていることも気持ち悪いし、必ず「その○○はかわいいじゃないか」という口調なのが、なんだかむかつきます。
昨日もまた、「その襟元のリボンはかわいいじゃないか」と話しかけられました。私のブラウスについていたリボンのタイのことでした。愛想のいい子だったら「そうですか?ありがとうございますー。」などと返すのでしょうが、どうしてもそういう風には答えたくないし、周りで私たちの会話を聞いている人に、私が喜んでいると思われたくないので、「そうですか?これ、たまに気がつくと縦結びになっちゃってるんです。」などと変な笑い話にしてみました。本当は縦結びになってたことなんてないのに。一度もないのに。嘘をついてまで、「ありがとうございます」と言うのを拒む私なのでした。