入院8日目から入院10日目までの記録

8月6日
朝4時起床。病院ではずっとエアコンをつけているのだが、この日は設定ミス。起きてすぐに、半袖パジャマに着替える。二度寝していたら、6時半頃採血の人が部屋に来て驚く。朝食前の採血。こちとらおなか空いてるんですけど。
パジャマのこと。本当はレントゲン撮影の際に、ボタンがあるパジャマだとよくないのだが、頭からすっぽりかぶったり脱いだりする動きが痛いので、袖口や首周りがよく伸びて脱ぎ着しやすいタンクトップの上に、前開きのパジャマを着ている。これだと、レントゲン撮影の際、パジャマの前のボタンを外して、肩まではだけさせれば、タンクトップは着たままでOK。レントゲン撮影用の服に着替える必要も無し。ちなみに、この日胸部CTを受けてわかったが、CTはボタンがあっても問題ないのだそう。
その胸部CTと心電図に呼ばれたとき、昨日同様、車椅子の申し出は無し。強がりなので、こっちからも求めない。「求めよ、さらば与えられん」という言葉が頭をよぎるが求めない。むしろ元気よく「行ってきまーす」などと言ってしまう。チェスト・ドレーン・バッグとサーボドレイン2000という2人の子供を乗せた台はかなり重いが、ナースステーションを通り過ぎるまでは、元気よく歩いていく。
そこを過ぎたら、どこかのお年寄りのようなペースで休み休み進んでいく。ベンチで休憩中、同じチェスト・ドレーン・バッグにドレーンでつながれた男の子を発見する。車椅子に乗って、点滴もしている。お仲間に出会えてちょっと感動。一方、向こうは無関心風。
検査は午前中ですべて終了。遠くの検査室まで行ったり来たりで疲労困憊。お昼ごはんを楽しみにしていたら、なんと、まさかのカレー!入院前だったら食べるけど、手術&転職前の今は、潰瘍性大腸炎を悪化させたくないから絶対食べないようにしている料理の代表格。でも、遙か彼方の売店まで行く元気も無く、しょうがないので、カレーのかかっていない白いごはんの部分をノンオイル青じそドレッシングのサラダで食べる。

先日も、夕飯にコロッケと唐揚げという、揚げ物&揚げ物が出た日があり、油物もおなかにはあまり良くないので、一口も手をつけず、たまたま母が買ってきてくれていたうずらの卵の燻製をおかずにしたことがあった。

常食を選んでいるからこういう困ったことになるのだが、低残渣食だと食物繊維が少なすぎて便秘になりそうで、常食を選ぶしかしょうがない。病気を複数持っていると、いろいろと面倒だ。
13時半頃母が来た。母は私の入院のせいで、パートを休みまくっている。母もパート先も困っているだろう。申し訳ない。
母に付き添ってもらって、病院に併設されている理容店に行く。シャンプーのため。理容店なので、シャンプーはうつぶせ。痛くない安全な体勢。台がよっかかりやすく、とても快適だ。病棟の洗髪台とは違う。そして、病棟の看護師さんとも違って、プロは丁寧にしっかり洗ってくれる。オールバックに乾かしたりもしない。でも、やっぱり美容院と違うなと思ったのは、私の髪をパーマじゃなく、クセ毛だと思い、ひたすらまっすぐ伸ばして乾かそうとしていたところ。これ、クセ毛風ボブなんですってば。前髪もピンパーマで横にくるりと丸くなるようになってるんですってば。直毛にしないでおくれ。
さっぱりした頭で病室に戻る途中、再びチェスト・ドレーン・バッグを連れて歩いている男の人とすれ違う。朝の人とは別の人。熱い気胸仲間目線を送ったが、かわされる。そう、気胸人はシャイ。
この日読んだ本。

ku:nel (クウネル) 2010年 09月号 [雑誌]

ku:nel (クウネル) 2010年 09月号 [雑誌]


8月7日
起床後、身体の痛みが無く、調子が良い。パジャマへの着替えもすんなり。誰かに見せたい機敏な動きだなどと調子こいていたら、痛みが戻ってきてしまった。おかえりなさい。帰ってこなくてよかったのに。
歯磨き、トイレ、洗顔、息を止めて動くのだが、世界息止めチャンピオンではないので、途中で息苦しくなり、息を吸って吐いてしてしまう。吸っても吐いても胸が痛い。でも、鎮痛剤は相変わらず使っていないし、使わない。偉すぎる、私、と思う。
13時半過ぎに父と母が来る。連日すみませんと思う。父は私の入院に合わせて夏休みを取っている。ほぼ毎日のように来てくれるから、だんだん話題がなくなってきて、みんなでお見舞いでもらった虎屋の水羊羹を食べたり、「眠いねー」とあくびをしあったりしてるだけ。
つまらなくなったので、母と売店まで行き、雑誌を買う。売店の入り口など、ドレーン・チェスト・バッグとサーボドレイン2000が乗っている台が床の凸凹にはまってしまい、持ち上げるしかない時がある。左手は痛いので、右手だけで台ごと持ち上げる。今回の入院で右腕はムキムキになるような予感がする。
この日読んだ本は3冊。

「旬」 がまるごと 2010年 09月号 [雑誌]

「旬」 がまるごと 2010年 09月号 [雑誌]

「旬」 がまるごと 2010年 07月号 [雑誌]

「旬」 がまるごと 2010年 07月号 [雑誌]


8月8日
腰が痛くなってくる。腹筋背筋が落ちてきたのと、痛みのせいで前かがみになって歩くことが多いからだろう。もう10日間も病室のベッドの上で座ってばかりいるから、こんな風にもなるか。29歳の私でもこうなのだから、お年寄りが、入院して病気自体がよくなっても、足腰が弱ってしまって困るということが起きるのは、よくわかる。
ドレーンが身体に入っている部分に、防水シートが張られているのだが、張られっぱなしなので、いいかげんかゆくなってくる。手術の日が待ち遠しい。
13時、妹と父が来る。おしゃべりして3人で大いに笑う。話題は、妹がいかに何も考えてなく大雑把かということ。今日は笑ってもどこも痛くない。母が買ってきてくれたお菓子の在庫の消費期限が迫ってきているので、2人に食べてもらう。
私はベッドからほとんど動かない生活をしているのに、やせた。真夏の入院で手に入れたのは細身の身体と白い肌。少しはいいことがなくては。
16時頃、お友だちが2人お見舞いに来てくれる。千葉と東京の端っこからやって来てくれた。ちょっとした小旅行。どうもありがとう。
2人のおしゃれな服装を見て、ノーメイクでパジャマの私は少し恥ずかしくなる。そして、外の世界を思い出す。入院患者って普通はメイクとかしてるのだろうか。
お友だちのひとりのお父さん(単身赴任中)が最近心筋梗塞で赴任先の病院に入院したということで、入院費などの話を聞いたら、1ヶ月で150万円だと知って、たまげる。私の手術はいくらするのだろうか。退職金が飛んでいくレベルじゃなかったりして。不安になってくる。
その他、彼女のお父さんの入院話で驚いたのは、貸し出されたパジャマの脇に大きなスリットが入っていたということ。わき毛も丸見えのセクシーさ。そのセクシーさ、何に必要なのだろうか。彼女の家庭は家族間でのおならも厳禁な恥の文化を大事にする家庭らしいので、お見舞いに行った家族は皆、そのパジャマについて何も触れられなかったとのこと。
明日は外科病棟の病室へ移動するとのこと。こういうのを「転棟」というらしい。私、転棟生。いじめられないかしら。
この日読んだ本は1冊。

「プライベートでも職場でも、明日できることは今日やりません。」という52歳の女性の考え方にびっくりする。私は今日できることは今日全部やる主義。でも、この境地に彼女が至ったのは、これまでがむしゃらに生きてきたからなんじゃないかと考える。若い頃からの考え方なのかどうか知りたい。