入院13日目(手術日)の記録

8月11日
一番よく眠れたような気がする。朝も看護師さんが来て、ようやく目を覚ます始末。手術への緊張はまだ無いようだ。それよりも、昨日の、潰瘍性大腸炎の先生の発言がまだ頭にきて、いまだにイライラする。
朝は昨晩の下剤のせいで、何回かトイレに行った。
手術は13時頃からの予定。9時以降は何も飲んではいけないので、喉が渇かないよう、あまり活動せずに部屋にいるようにする。
11時頃手術着に着替える。水色の細かいチェック柄にオレンジ色の大きいチェック柄が重ねられているような生地。このセンス、激しく微妙。ちなみに、パンツは脱ぐ。例のT字帯は最初からつけるわけではなく、手術室に持っていくのだそう。
準備しておいた弾性ハイソックスも履いてみる。そして、驚く。看護師さんは、退院後もむくみ防止で普段も履けるようなことを言っていたが、こんな変なところに穴がある靴下は初めてだ。

全部着替え終わるとこのような姿になる。

12時過ぎ、個室廊下にストレッチャーが到着。それに乗るとTVドラマのようで、テンションが上がる。にやにやしてしまう。看護師さんが手術室までストレッチャーを押してくれる。母は病室で待っていようと思っていたのに、看護師さんに「手術室の入り口まで来ていただけますよ」と言われ、心配というより興味がある様子でにやにやしながら着いて来た。術前にやにや親子。
母と別れ、手術室に入ると、エンヤ的な音楽が流れている。リラックスさせるためだろうか。私がよく行く歯科医院もエンヤを流していたけど、エンヤって医学業界ではそういう扱いなのか?
手術室では、3人のサポート役っぽい女性(ベテラン風)と1人の麻酔科医(この前の女性じゃなく、男性)、そして、執刀医のいつもの女医さんが待っていた。
まず、ストレッチャーから、手術台に自分で移動。その際、手術着は外され、全裸状態にタオルケットらしきものをかけられる。
そして、麻酔。点滴用の針を刺す。しかし、手首や腕の欠陥が細すぎて、なかなか難しい様子。2回手首で失敗され、最終的には、ペシペシたたかれたり温められたりして、手首と肘との真ん中くらいの腕の内側に子供用の針で刺すことに成功。
採血の時に刺す肘の内側部分は、もりっと血管が浮き出ていて、看護師さんによく「やりやすいですー」と喜ばれるのに、そこ以外の血管が細いなんて知らなかった。新しい私、発見。
こんなに大きな図体なのに、肺がもろかったり、血管が細かったり、大腸が弱かったり・・・・・。身体の内側と外側が逆だったらよかったのにね。華奢に見えて、内臓は頑丈にできてるの。全く私は残念な人間だ。
麻酔は、点滴で入れられる。針を刺している部分に麻酔薬が入ると、少しピリピリチクチクしみるが、10秒も経たない内に眠ってしまう。
実は、手術台に移ってからずっと小鼻にできた治りかけのにきびが痒くて、掻きたくてしょうがなかったのに、手の指に酸素飽和度を計る機器をつけられたり、腕に血圧計をつけっぱなしにされたり、針を刺されたりと、どっちの手も使えない状態だったので、麻酔が効くこの瞬間をずっと待っていた。きっと、眠りに落ちる瞬間、「これで痒みから解放される・・・・」と思ったはず。よく覚えてないから想像だけど。
手術中は夢を見ていた。後ろ髪が少し長くなっているから手術はやっぱりできないとかなんとか、とにかくいちゃもんをつけられて、手術をしてもらえないという変な夢。
そんな夢を見ていたら「kaayaさん、手術、無事終わりましたよ」と起こされる。手術時間は1時間。予定の2〜3時間よりもずいぶん短い。最初の麻酔の点滴針がもっとスムーズに刺されば、きっと45分くらいしかかからなかっただろう。

これは部屋に戻ったばかりの私。二重あごに見えるのは、酸素マスクがきついせい、だと思いたい。


手術室から部屋に戻ってからが大変。穴を2つ新たに開けて、そこから胸腔鏡を入れて見つかったブラを縛り、もともとドレーンが入っていた穴には、さらに太い直径1cmほどのドレーンを入れてある。このドレーンがとにかく痛い。この痛さに比べたら、手術前に入っていた細いドレーンの痛さなど、たいしたことがないと言えるほど。まさに激痛。どんな格好をしていても、しゃべるだけでも、息をするだけでも痛い。
それなのに、術後3時間くらいで起きたり歩いたりするよう、看護師さんにせかされる。「夜トイレに1人で行けないと困るでしょう」とのこと。それを言われると、頑張らざるを得ない。麻酔で焦点が定まらない中、ふらふらしながらベッドに座ったり、立ち上がったりする。
そして、夕飯も出る。肺は消化器じゃないから、大丈夫っちゃ大丈夫だが、最近の外科手術はすごいと改めて思ってしまう。もちろん、食べていても激痛。しかしブドウ糖の点滴を早く抜いて欲しい思いだけで、頑張って食べる。
母が心配して面会時間ぎりぎりの夜8時までずっと付き添ってくれる。しゃべる時は筆談。筆談ホステスの気持ちが分かった(嘘)。